「被害地元」の立場で攻勢 滋賀・京都の提言(東京新聞 2012年4月18日 朝刊)

以下,本日の東京新聞です。
滋賀県京都府が十七日、関西電力大飯(おおい)原発福井県おおい町)の再稼働方針を決めた政府に対し、七項目からなる原発政策の提言を発
表した。
いずれも急ぐ政府をいさめる内容だが、重大事故が起きれば立地自治体と同じく被害を受ける「被害地元」としての提言だ。
独自に放射性物質の拡散予測を公開するなど攻勢を強めており、再稼働へのハードルは一段と高まりつつある。 (大村歩)

 「提案も踏まえつつ政府の立場についての説明を、しっかり今後していく」。
藤村修官房長官は同日午後の定例会見で提言への感想を求めたが、建前論を繰り返した。

 提言は、脱原発依存への工程表を示すことや、今夏の電力需給見通しは関電の言い値ではなく、第三者委での検証を経ることなど、どれも政府に
欠けているものばかりだ。

 滋賀と京都が強い調子で出られるのは、重点的に防災対策を整備する区域が従来の十キロ圏(EPZ)から三十キロ圏(UPZ)に拡大されるこ
とがある。
東京電力福島第一原発事故を踏まえ拡大が決まったが、大飯原発からはいずれも圏内にかかる。

 圏内の京都府の人口は六万八千人。
防災・原子力安全課の上田哲生副課長は「福井県内の三十キロ圏内人口に匹敵する。うちはいわば立地県だ」と話す。

 既に福島と同規模の事故が起きたとの想定で、大飯原発の西隣にある関電高浜原発福井県高浜市)からの放射性物質拡散予測図を公表。
内部被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を服用すべき地域が、京都市まで広がるとした。

 上田副課長は「今後大飯原発でも予測するが、同様になる可能性が高い」と話した。
 一方の滋賀県も昨年十一月、大飯原発からの拡散予測図を公表。ヨウ素剤服用が必要になる地域は三十キロ圏の外にも広がる、との結果だった。
UPZは国が目安として示した三十キロ圏を飛び越え、独自に四十三キロにまで拡大した。
同県の担当者は「事故時の影響は明らか。知事が反対するのもこの予測図があるから」と話す。

 さらに、滋賀県からデータの提供を受けた大阪府も、大飯原発から百二十キロ離れた同府内にまで放射性物質が拡散するとの予測を発表してい
る。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012041802000122.html