災害がれきの広域処理を考えるシンポジウム―法的問題・安全性を問う 

以下,環境総合研究所の池田こみちさんの文書です。
ご参考までに。
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災害がれきの広域処理を考えるシンポジウム―法的問題・安全性を問う 
災害廃棄物広域処理の環境面からの妥当性について
――広域処理の「必要性」「妥当性」「正当性」の観点からの評価――
池田こみち(環境総合研究所)

1.はじめに:今、日本中を覆っているおかしな空気
災害瓦礫の受入を拒否するのは「NIMBY(Not In My Backyard)症候群」と切って捨てて良いのだろうか。
平成 23 年 8 月に全党が賛成し議員立法で成立した「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」の下、国は災害廃棄物の
広域処理をなりふり構わず推し進めようとしている。
平成 24 年 3 月 2 日には「広域処理を推進する議員連盟」まで結成されている。

マスメディアもその動きを後押し、今や広域処理を拒否すると「非国民」かつ「身勝手・我が儘」というレッテルを貼られ、白い目で見られ後ろ指
を指される程である。
少なくともこの国が民主主義を標榜するのであれば、正当な合意形成の手続きもなく、科学的・経済的な妥当性についての説明もなく、また、今、
広域処理が被災地にとって本当に必要な援助や支援なのか、についての説得力のある情報もないまま、強権的にあるいは一方的に押しつけられる政
策を黙って受け入れることはできない。

何よりも、国が被災地住民とその他の地域の市民の間に対立構造をつくりだし、相互の不信感を増幅させていることは看過できない事態である。
今、私たちは何故災害瓦礫の広域処理に反対なのか、勇気を持ってしっかりと声を出していかなければならないと感じる。
NIMBY は地域の環境や子どもたちの健康を守るための闘いの原点であるとともに、政策決定プロセスに関与するための出発点でもあり、決して非難
されるべきものではないはずだ。

2.日本人のマスメディアへの情報依存性
先に述べたように、今日本を覆っているおかしな空気を作り出している元凶の一つがマスメディアである。
以前から指摘されていたことではあるが、3.11 以降、マスコミの劣化は著しく、社会の木鐸としての役割を果たしていないどころか、最低限の事
実情報の伝達でさえまともに出来ていないことは誰もが否定し難い状況となっている。
インターネットの普及に伴い、このところ新聞・テレビ離れが著しいとは言うものの、日本人のマスコミ依存性は依然として極めて高いものがあ
る。

日本リサーチセンターが実施し 2000 年に公表した先進国、発展途上国、資本主義国、社会主義国を問わず各国国民が、いかなる組織に信頼を置い
ているかを調べた「世界 60 カ国価値観データブック」調査結果からその特徴を見てみよう。
日本とイギリスを比較すると、日本国民の圧倒的多数(70%以上)が新聞などマスメディアに信頼をおいているのに対し、イギリス国民は大メディ
アをわずか 14%しか信頼していない。[1]

次に日本と米国について比較すると米国も英国同様の傾向を示し、米国民のマスメディアの信頼性は26%に過ぎない。
他の先進国のマスメディア信頼度はカナダ 36%、イタリア 34%、フランス 35%、ドイ2 ツ 36%、ロシア 29%である。
逆に日本(70%)に近い国を探すと、中国が 64%、インド 60%、フィリピン 70%、ナイジェリア 63%と、いずれも発展途上国となっている。

要約的に言えば日本国民は新聞、テレビなどマスメディアの情報を先進国の中で最も無批判に信頼しているということを意味している。[2]

これを裏付ける別の調査結果が多数ある。米国の著名な世論調査会社、ギャラップ社による日本人のマスメディア信頼度調査である。
ギャラップ調査によると、日本国民の 73%〜74%が新聞、テレビなどのマスメディアを信頼するとなっており、先の国際調査の結果と極めて近い結
果であることが分かる。[3]

さらに、ノルド社会環境研究所が実施した「情報源の信頼性」と題する調査では、情報源の信頼性について聞いているが、
ここでも日本人の多くは、?マスメディア→?大学・研究機関→?企業・事業者→?市町村→?都道府県→?国の省庁→?衆議院参議院→?政党
(与党)の順で情報に信頼をおいていることが分かった。
ノルドの調査結果から、日本国民は国の省庁や政治をほとんど信頼しておらず、圧倒的にテレビ、新聞などの情報を信頼していることが改めて浮き
彫りになったといえる。

以上、複数の調査結果から分かったことは、これまで日本社会では国民が、マスメディアが流す情報に他の先進諸国ではありえないほど高い信頼を
おいているということである。
逆説すれば、新聞、テレビが提供する各種情報、とりわけ報道や解説によって国民の世論が形成されてきたことに他ならない。
そのため、政府がマスコミを利用して国民を正当な理由もなく、特定の方向に誘導しようとする昨今の状況となっている。

このような状況の中でマスコミも協力して作り出されている;
◆瓦礫が復興の妨げとなっているので、広域処理は不可欠である。
◆瓦礫の放射線量は低く、焼却処理しても全く周辺への影響はない。
◆その道の専門家が検討して決めたことなので安全に問題はない。
という論調をそのまま鵜呑みにして良いのかどうか、ひとつひとつ検証してみたい。

3.広域処理の必要性
瓦礫の広域処理が必要な背景として、「災害復興の足かせとなっている」ということがよく指摘されるが、以下のアンケート調査結果を見ても、
瓦礫の処理は震災からの復興の大きな妨げとはなっていな
いことがわかる。
優先すべき課題は、複数回答で「雇用」が 78.8%、「原発事故収束や被害補償、放射性物質の除染」が 64.0%、「住宅」が 60.9%。さらに、
「心の傷のケア」について、女性の回答が 69.2%にも上っている[4]。

震災から一年経っても都市計画や復興計画すらまともにできておらず、被災地は人口の流出、産業の崩壊にあえいでいる。
実際に現地でボランティア活動をしている方々の声を聞いても、依然として津波で被害を受けた家屋の片付けさえ終わっていない状態という。
海岸域の住民が望んでいる高台への移転(新たな街作り)に関して言えば、瓦礫仮置き場のある海岸部に街を再生するわけではないため、さほどの
支障とはならないだろう。
全ての津波被災地で瓦礫が今現在復興の妨げになっているかのような論調は、冷静に現実を見て被災地の復興を支援することを考えているものでは
なく、他地域の人々に情緒的な圧力を与えるものとなっていると思える。

ただし、瓦礫仮置き場における自然発火や粉塵、ハエや害虫の発生などの衛生問題等への対策は、この問題とは別に3 適切に行われるべきである。
仮に広域処理を行った場合でも、瓦礫の処理には年単位の期間を要するものであり、仮置き場におけるこれらの問題をそれまで放置するわけにはい
かないからである。

個々の瓦礫仮置き場毎に地域の復興計画に照らし合わせていつまでに撤去が必要か、という点を具体的に検討すれば、あわてて広域処理を(ムダ
な運搬費をかけて地元での仕事にもならないのに)行う必要はないと考えられる。
まずはその点について透明性のある議論を、利害関係者である双方の自治体が参加した場で行うべきである。
事実、被災地域の自治体の首長の一人は、「そんなに慌てて瓦礫を処理する必要があるのか、地元で時間をかけてやれば雇用にも繋がる」と本音を
語っている。

4.広域処理の妥当性:環境面/安全面の妥当性、経済的妥当性、社会的妥当性
東京をはじめ首都圏の焼却炉で焼却されている一般廃棄物ですら既にベントや原発建屋の水素爆発時等に排出されたと思われる放射性物質に汚染さ
れており、焼却灰や飛灰に高濃度の放射性物質が濃縮されている状況となっている。
単純に考えても、首都圏のごみや被災地の瓦礫のうち放射性物質による汚染のあるものを焼却することについて、以下の問題点はすぐにでも指摘で
きる。

・人口密度の高い都心部などで焼却すれば、周辺へのリスクをさらに高めることに繋がる。
・焼却後のバグフィルターの交換や炉のメンテナンス、作業員の放射線防護対策等、焼却炉の維持管理コストが増加する可能性がある。
・東京 23 区は、東京湾の中央防波堤沖最終処分場に灰を埋め立てているが、管理型処分場は完全に密閉されたものではないため、海への汚染の流
出が危惧される。
既に河川からの汚染の流入により、東京湾放射性物質濃度は上昇傾向を示し始めている。

放射能レベルの低い瓦礫を焼却することにより、わざわざ放射性物質を濃縮させ高濃度となった焼却残渣を海面埋立処分場に埋めるというのは例
え 8000Bq/kg 以下であっても問題である。
・焼却灰を埋立て、覆土を大量に持ち込んだ場合には可能埋立容量にも影響が生じ、自治体の長期的な利用計画にも支障を来すことになる。

3-1 環境面からの安全性について
(1)測定を繰り返し「安全」を一見科学的であるかのように強調しているが。
?瓦礫の放射能測定はごく一部に過ぎない。
?バグフィルターで 99.9%除去できるという第三者的かつ科学的な論拠は示されていない。
?排ガスの測定もごく一部に過ぎない。測定方法も確立/統一されていない。既に測定され公表されているデータを見ると、「不検出」と表記
されている一方で、定量下限値などは明記されていない。
?焼却することにより、短時間で 1 種類の化合物から千種類もの非意図的物質が生成することが明らかとなっており、敢えて有害物質を環境中
に排出する行為となる。

(2) 環境省の検討会資料では、電気集じん機(EP)付き焼却炉での実証試験では、排ガスから放射性物質が検出されているにもかかわらず、
環境省ガイドラインではEPの焼却炉でも焼却してよいとしているので、一層住民の信頼を失う結果となっている。

(3)焼却すれば、主灰や飛灰に濃縮された放射性物質が浸出水として排出されるが、浸出水処理施設ではセシウムは取れないこと等が、国の検討
会資料でも指摘されており、これに対する対策は示されていない。
この点は国立環境研究所の研究者(山田正人氏)も指摘している。専門家同士でも意見が分かれる問題であり、重要な指摘がなされているにもかか
わらず、一部の専門家の見解の みを根拠としている。

セシウム濃度が 10 分の 1 にするには 70 年間、100 分の 1 に減ずる約 170 年間の長期的な管理(封じ込め)が必要」

「私は国立環境研究所というところで廃棄物の研究をしている者です。専門埋立処分術です。環境省が酷い要請をしているようです。再三、
8,000Bq/kg 以下という基準では普通の埋立は無理です。だめだという根拠はこれです」山田氏のツイッターでの情報発信
【参考】国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター(廃棄物適正処理処分研究室)/室長 山田正人氏 の論文 一時保管と最終処分、雑誌
「都市清掃」【特集 都市ごみと放射能

(4)放射線レベルだけの問題ではない。
今回の津波により、事業所や家庭など地域に保管・管理されていた薬品、油類など多種多様な有害物質が流出し、津波によって流された廃棄物は、
それらを吸収・吸着している。
また、被害を受けた工業製品類にも多様な化学物質が含まれている。
それらを焼却した場合、そうした未規制物質の汚染が拡散してしまうことが危惧される。
これについては、米国環境健康科学研究所からも指摘されている。
米国環境健康学研究所(NIEH:National Institute of Environmental Health)は、「化学物質の影響−東北地方太平洋沖地震津波による汚染と
除去」と題するレポートの中で、PRTR(化学物質排出移動量届出制度)により集約されたデータを見ると、被害地域には多種多様な化学物質が様々
な業種の事業所において保管・移動され、また排出されていることから、それらの影響を受けた廃棄物を焼却することは危険性であることを指摘し
ている。

日本の焼却炉の監視、規制体制は非常に甘く、過度な技術依存となっている。
排ガス中の規制項目は、?窒素酸化物、?イオウ酸化物、?煤じん、?塩化物/塩化水素、?ダイオキシン類の5項目に過ぎず、重金属類や PAH
類(多環芳香族炭化水素類)などより発ガン性の高い物質についての規制や監視は行われていない。
現行の規制や監視体制を見直すことなく、災害廃棄物を人口密集地域の一般廃棄物焼却炉に投入することは極めて危険であると言わざるを得ない。
また、災害廃棄物を投入することにより焼却炉労働者の健康影響や焼却炉の維持管理が困難となり、コスト面の負担増となることも併せて考える必
要がある。

(5)温室効果の促進
東京都に運ばれた女川町のがれきは、幹線部分は JR 貨物による輸送となっている。
しかし、 トラック業界が「協力」を申し出ているように、起点・終点部分はトラック輸送への依存は不可欠となる。
LCA 的に見た場合、あきらかに環境負荷が増加し、輸送中の二酸化炭素の排出量も増加する。
明らかに輸送+焼却処理は温室効果を増長させ、都心部にあっては、ヒートアイランド現象を助長させることにつながる。

3-2 経済的合理性/妥当性について検討されていない
経済的合理性についての詳細は、奈須りえ区議の報告に委ねるが、女川などの瓦礫の放射線レベルが低いということであれば、現場で瓦礫を専門に
焼却処理する施設を早急に作って現場で処理処分するのが効率的であり、また、分別を徹底して資源化を推進する方が環境面からも好ましい。

■代替案の議論が行われていない。/そもそも「焼却」に依存しすぎている。
焼却→埋立という処理だけでなく、その他の処理方法についての比較検討が全く行われていないために、適切な評価ができない。
・ 現地で処理する場合どのような方法があり得るのか。
・ 焼却しない場合にはどのような方法が適用可能かなど、多様な代替案の検討は不可欠である。
・ 汚染が少なく分別が徹底されていれば、木材などはチップにして燃料にすることも可能なはず。
リサイクルの可能性についても検討すべきである。
?木材系廃棄物
放射性物質の濃度が低いことだけを問題にし、その他の汚染を捨象するのであれば、木材系廃棄物はチップ化してストーブなどの燃料に加工した
り、有機物・バイオマスとしてエネルギー利用したり、堆肥化するという方法も考えられる。
そうした新たなビジネス、事業を立ち上げることも地域の自立に役立つと思われる。
?プラスチック廃棄物
エネルギー源の一つとして、セメント工場や製鉄工場、紙パルプ工場などが燃料として受け入れる可能性も模索すべきではないか。
?金属くず類
金属類は、製鉄業などに資源として引き取りの可能性を打診する必要がある。
?コンクリート瓦礫
堤防や防潮堤、道路、ビルや家屋などの倒壊により膨大なコンクリート瓦礫が発生している。
それらは地元での道路、堤防等の復興土木事業に再利用することも可能である。
・ すべてを焼却する、しかも遠距離を輸送し、一般廃棄物を焼却している人口過密都市の焼却炉で処理するという考え方に問題がある。
・ 破壊された堤防などの再構築の際に内部に遮断型処分場を内包するような形で現地で処理するのが最善の策。

なによりも、代替案の検討は一切無く、経済的合理性が追求されていないことは重大な問題と指摘せざるを得ない。
仮に広域処理を行う場合でも、最初の1年程度だけ輸送距離の短い範囲(輸送コストが少なくて済む範囲)で、施設が整っているところに限定し、
その間に現地に施設を作るということも考えられるが、現実は「広域処理ありき」と結論が先に決まっている。
ましてや一部企業、業界との癒着、利権が疑われるような対応はすべきではない。

3-3 社会的妥当性について
非難されるべきは、次に指摘する環境省の検討会の閉鎖的体質、隠蔽体質であるにもかかわらず、この問題で情緒的に市民の感情を刺激するのは止
めるべきである。
・受け入れる、受け入れない、で被災地と受入側の住民の感情に不要な溝をつくり、対立する構造を作っているのは国である。
そうした雰囲気をつくるのではなく、公平に情報を共有化し、開かれた議論の場で冷静に検討し、対応すべき問題である。
石原知事のように専制的、独裁的にものごとを進めるのは問題である。

・被災地を救済したいという日本全国の市民の気持ちに応えられる対策を検討する必要がある。
瓦礫を受け入れるかどうか(ON か OFF か)ではなく、現地での効率的な処分を行うための技術、人材、資金の提供などへの協力も検討すべきであ
る。
地元の現状、実態を踏まえた議論、情報交流を通じて、さまざまな支援策が検討されるべきであるにもかかわらず、瓦礫の広域処理については、一
方的に決められ押しつけられようとしている。
国会議員もマスコミも本来批判すべき対象を間違えている。
ましてや、それぞれの地元の利害を引きずった議員が広域処理の安全性を説明して説得しようとしても、も何ら信頼性が得られるはずもなく、返っ
て問題を混乱させるだけである。

2.意思決定/政策立案プロセスの正当性
広域処理を検討し、決定した環境省の検討会「災害廃棄物の安全評価検討会」の透明性が問われている。
環境行政改革フォーラム事務局(筆者は副代表)が環境省に対して情報開示請求を行ったところ、以下の経過からもわかるように、まったく透明
性、信頼性を欠く対応となっている。
(1)情報開示請求に応じて、請求から二ヶ月後に第 1 回〜第 4 回の議事録の開示を決定した。
(現在は、環境行政改革フォーラムの Web サイトに掲載)
(2)第 5〜7 回については、議事録を作成せず、会議を録音したデータも不開示とし、それ以降の会議(第 8 回〜第 11 回)について、議事録はお
ろか、会議の録音さえもしていない(不存在)として不開示との決定を行い「行政文書不開示決定通知書」を送付してきたため、現在、異議申し立
て手続き実施中。
(3)さらに、「議事録を作成しないことに決定」した決裁文書の開示を求めたところ、これについても不存在として「行政文書不開示決定通知書」
を送付してきたため異議申し立て手続き中。

なお、並行して環境省に設置して行っている除染を検討する検討会「環境回復検討会」も同様に非公開、議事録公表なしとなっているため、フォー
ラムでは併せて開示請求を行っている。
環境回復検討会は議事要旨をみると、委員の一人が、これらの検討会が非公開であることが不信を招いていると指摘しているが、それに対しての他
の委員の反応や事務局の考えは不明である。

以上のことから明らかなように、災害瓦礫の広域処理推進の前提となる検討はすべて非公開で実施され、どのような議論が行われたかすら明らか
にされていない。
被災した自治体はもとより、受け入れる側の自治体の参加もない。
国民に対する十分な説明も行われず、第三者的な立場の専門家を交えての議論の場もない。
まして、委員を選ぶ権利も手続きもない。
マスコミは、こうした不公正な手続きについては一切問題視せず、広域処理が反対で息詰まっていることばかりを報道している。

CRPの勧告(Publ.111)でも現存被ばくにおける放射線防護においては、正確な記録、透明性、利害関係者の関与が重要と指摘しており、こ
の勧告書は日本での復興に役立つよう例外的にウェブ上で英語版、日本語版ともに無償提供されている。それにもかかわらず日本政府は、自治体の
参加も得ず、市民の理解も得られないまま非公開の議論を根拠に広域処理を強行する理由はどこにあるのか。

今からでは遅きに失するが、最初から公開された場で公正に選ばれた異なる立場のメンバーが情報を共有化し、しっかりと議論していれば、瓦礫
の処理でこれほどまでに混乱し、無駄な時間を費やすことは無かったと思われる。
改めて、国の責任を厳しく問いたい。

<参考文献>
[1]日本リサーチセンター編、「世界 60 カ国価値観データブック」、2000 年
[2]ギャラップ社、日本人のマスメディア信頼度調査、2005 年
[3]ノルド社会環境研究所、情報源の信頼性に関する調査、2004 年 10 月 14 日
[4] セルコホームによるアンケート調査、朝日新聞・「復興進んでいない」4割強
2012 年 02 月 06 日 http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000001202060002

環境総合研究所
http://eritokyo.jp/